第9章 パラサイト
「待て!」
必死で追いかけて、続いて扉を出た先は――
「何だ此処は!」
「格子の中ですか!?早く出ないと―」
鉄格子の扉を出ようと振り返る2人。
格子の外には男が一人。
「暫く大人しくしておいて貰おうか?」
「「!」」
ニヤリと笑いながら扉を閉める。
ガシャンと大きな音を立てて2人は閉じ込められてしまう。
「しまった!」
「国木田さん!アリスちゃんが居ません!」
「!」
―――
「はぐれちゃったか。」
扉の先の部屋に誰も居ないことに溜め息を付くアリス。
「取り敢えず外に出てから国兄達を探すかな。」
扉に近づいて手をかざす。
「異能力―――『ワンダーランド』」
そう告げて扉をくぐると其処は入ってきた拘置所の入口。
「外に出られたのはいいけど…国兄達は何処に居るかな?私だけ異能の効力が解けてもねぇ。」
「アリスちゃん!」
「!」
うーん、と唸りながら考えていると突如、アリスの名を呼ぶ声がする。
アリスはその方向を振り返る。
「あ、あっくん。鏡花ちゃんも如何したの?」
「如何って……応援だよ。」
ハァハァ息を切らしながら答える敦。
鏡花も少し呼吸が荒かったが直ぐに整えてアリスに云う。
「手伝う」
「有難う。丁度、国兄達とはぐれちゃって困ってたんだよ。」
ニコッと2人に笑って、状況説明とこれからどうするのかを話し合う。
「私の勘が正しかったら、2人は今、格子扉の部屋に閉じ込められてると思うんだ。」
「!」
「でも、扉を通ったら駄目なんでしょ?」
「そう。違うところに行くかもだからね。でも逆に扉さえ通らなかったらいいんだよ。夜叉白雪なら大抵のものは壊せるでしょ?」
「うん。出来ると思う。」
「2人は窓から入って国兄達を探して。そんなに大きな施設じゃないし、其処から入れば直ぐの筈。私は玄関から入ってきっと待ち構えてる逃走犯と対峙してくる。」
「そんな!アリスちゃんだけじゃ危険だよ!僕もそっちに行く!」
「いや、鏡花ちゃんの方が危険だよ。其方は敵味方が判別つかないから見付かった場合が大変。」
「!」
確かにその通りだ。