第9章 パラサイト
「何故だ?あの時―」
「それは教えないよ。でも予想はつくでしょ?私、こうみえて交遊関係が幅広いからね。」
「・・・そうか。では質問を替える。何故あの屋敷に居た?」
「!」
その質問に谷崎が反応する。
子供の誘拐にアリスが関わっていたのか?
「あの屋敷には用事が有ったわけじゃないんだよ。只、落とし物を回収に行っただけ。そしたら色々と巻き込まれちゃってね。」
「・・・。」
「話を戻すんだけど。あの時の誘拐で既に14人、行方を知ることが出来なかった子達が居るでしょ?」
「嗚呼。幾ら探しても見付からなかった。」
「▲▲はポートマフィアの名を語って臓器売買でお金を稼いでいたんだよ。」
「「「何だって!?」」」
思わず運転手まで叫ぶ。
「貴女は何者なんです!?パラサイトの事といい、我々が知らないことまで――」
「……それを知ったら貴方、死ぬよ?」
「!」
「アリス。脅すな。安全運転が出来なくなるだろうが」
「アリスちゃん…。」
国木田と谷崎がアリスを諫める。
アリスはクスクス笑って一寸言ってみただけだよ等と軽い調子だ。
「まぁ余計な詮索はしない方がいいよ。如何せ『覚えてはいられないけど』ね。」
ニッコリ笑って、バックミラー越しに目が合った運転手に言う。
「で?続きは。」
「▲▲は、とあるマフィアの傘下だったんだけどね。ポートマフィアに寄生するには骨が折れると判断したパラサイトに捨て駒として使われたんだよ。」
「捨て駒・・。」
「マフィア達に名誉と地位を保証してもらう代わりに資金提供……大金を要求されていたんだ。」
「有りがちな話だな。それで?」
「そいつらはポートマフィアの名を語って金儲け出来る方法を▲▲に教え……」
「待ちなさい!その話を何処で聞いた!?それが本当なら大変な事なのだぞ!?」
運転しながらも男が口を挟むようになる。
アリスの表情から少女らしさが無くなっていくのに国木田が気付く。
「話が進まん。黙って聞いていてくれ。」
「しかし!」
「『余計な詮索をしないこと』。社長に言われてない?」
「!」
男の目が大きく開かれる。
何故あの場に居なかったのにこの少女は会話の内容を知っている?
動揺を隠せない。