第8章 爆破予告
突如、太宰の歩みが止まる。
アリスは降ろしてもらうと走り出した。
目的地についたのだ。
着いた先は先程約束したケーキ屋さん。
見た目相応に、はしゃぐアリスを見て太宰が国木田に言った。
「具体的に何時から今の様な仲かは私にも判らないよ。でも、思えば最初から何かが合ったんだろうね。」
「ほお」
「でもハッキリと自覚した後の方が大変だったことだけは間違いないよ。」
「………。」
国木田は敢えて何も云わなかった。
2人も、アリスの後を追って店に入っていった。
―――
「で、こんなにケーキが在るンですね。」
「嗚呼。勝手に食べるなよ?また機嫌を損ねたら…」
応接用のテーブルに大量のケーキが置いてある事に気付き、谷崎が理由を聞く。事の経緯を国木田から聞き、苦笑する。
「イチゴタルトさえ食べなければ大丈夫だよ。」
自分の膝を枕にして眠っているアリスの頭を撫でながら太宰が答える。
「本当、太宰さんに懐いてますよね。」
「いやー。ここまで成るのに苦労したからね。」
敦がアリスと太宰を見ながら言うと自慢気に太宰が答える。
「少し甘やかし過ぎな気もするがな。お前がもう少し真面ならアリスも大人しかったんじゃないか?」
「否、アリスも少しズレてるのだよ。そのせいで過激な戦闘に巻き込まれたり、アリスを見付けるのに1ヶ月ほど徹夜で調べたりと大変な思いをしたのだよ!」
「へぇー。で、1ヶ月後に見つかったんですか?アリスちゃん」
よく判らずに質問する敦。
過激な戦闘には敢えて触れなかった。
「私が直接見つけた訳ではないのだがね。鎖に繋がれて居たところを偶々通りすがって」
「「えェッ!?」」
谷崎と敦が盛大に驚く。
国木田は先刻聞いた為、溜め息しか付かない。
「太宰さんがそれを助けて、それから恋仲に!?」
「ナオミ!急に抱き付かないで!苦しっ…」
「否、まぁそれは置いといて。」
ナオミの質問に太宰は思いっきり視線を反らす。