第8章 爆破予告
「甘やかし過ぎな程でも気に掛けておかないと世間知らずだからね。6歳で止まっていたアリスの時間は漸く動き出したばかりだから。」
全員が黙ってアリスを見る。
するとアリスの目がパチッと開いた。
「「「……………。」」」
見ていた方もアリスも驚いた顔をする。
「おはようアリス」
「…何で皆で私の事見てるの?」
起き上がって皆の顔を伺う。
「可愛い寝顔だったからだよ。」
「嘘吐き。」
太宰の言葉をムッとしながら否定する。
溜め息を付きながらアリスを何時ものように後ろから抱き締める太宰。
「本当、厄介な能力だね。」
「!うわぁ。もう、離してよ!」
パタパタと暴れて腕から逃げようとするアリス。
「―――――。」
「!」
太宰がアリスに何か耳打ちする。
其れを聴いた途端に大人しくなるアリス。
太宰が微笑んでアリスの頭を撫でた。
「却説、ケーキを食べようではないか。」
太宰の切り出しに各々がケーキを取り、食べ始める。
『皆はさておき、私は嘘は付いてないよ?』
イチゴタルトを頬張りながら先程、耳元で囁かれた言葉を思い返すアリスだった。