第8章 爆破予告
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無事に騒動が解決し、目的地に移動している3人。
「爆弾の知識があるということは…アリスは爆弾を作れるのか?」
「作れなくは無いだろうけど作ったことは無いよ。」
太宰の腕に抱えられ、眠っているアリスを見ながら国木田が尋ねる。
「何故そう言い切れる。」
「必要が無いからさ。アリスの異能力を以てすればモノなんて無くても、空気中の物質を弄れば爆発くらい簡単に起こせる。」
「!」
「それに、アリスは何の力も持たない無関係の人間が巻き込まれて傷付くことを酷く嫌う。爆弾なんて正に良い例だ。頼まれても作らないだろう。」
「…確かに。」
「知識は有ったとして、先刻のも実際に配線を見たんじゃない。『通電さえさせなければ』って言っていたから電動力を操作したのだよ。電気は操作対象だからね。時計なんて電気を操るよりも、もっと簡単に操作できるだろうし。」
「本当に何でもアリだな。」
太宰の話しに驚きっぱなしの国木田。
お互い理解しあっていなければ、こうもハッキリと言えはしないであろう。
「…アリスも一緒にマフィアにいたのか?」
「否、違うよ。」
聞きたかったことを尋ねるとあっさり否定される。
「アリスは情報屋。まぁ、取引相手は堅気からマフィアまで幅広かったけど。」
「!」
「都市伝説並の存在でね。探すのに苦労したものさ。」
ふふふ。と笑いながらアリスの頭を撫でた時
「…直ぐに見付けたくせに。」
アリスの眼が開いた。
「!起きたのか。」
力の消費で眠っていたと思っていた国木田が驚く。
「治兄、私の異能力が効かないから直ぐに見付かっちゃってね。」
ふあーっと欠伸しながら話を続ける。
「それで仲が良いのか。」
「否、真逆。2回目に遭ったときなんて殺されかけたよ。」
「何!?」
「だから殺す心算なんて無かったって。それに、あの日から恋人同士じゃないか。」
「いやいやいや一寸待て。」
「「ん?」」
性格も何処か似ている所がある2人だが
元々不仲だったとは。
いや、それ以前に殺されかけたって云ったような……?
思考が追い付かない国木田。
「「あんまり悩むと禿げるよ?」」
「悩みの原因はお前達だ!」
息ピッタリの発言をみても想像がつかない。