第8章 爆破予告
………。
「……は?」
予想外の答えに太宰とアリス以外が唖然とする。
従業員の男は続ける。
「彼奴が此処を恨んでいるのは知っていた!爆弾を仕掛ける事も!だから俺も彼奴に同調し、手伝いを申し出た!」
此処までの話を黙って聞いていた太宰が口を開く。
「成程。犯人を捕縛した後、危険が伴う客の誘導を引き受け、且つ設置箇所を把握している爆弾の在処を突き止め、英雄になる予定だった、と。」
「!そうだ!それなのに!この少女が其れを邪魔した!」
語る予定だった内容を、太宰に一言一句違わずに言い当てられる従業員。
そしてアリスに対しての恨みの理由も述べ、改めて刃物を突き付ける。
その光景に太宰と国木田は眉をひそめるも、突き付けられている当人は、心底どうでもよさそうに欠伸をしながら男の話を聴いていた。
「そんな事で英雄になってどうする積もりだ!?」
「決まってる!」
国木田の質問に即、反応する従業員。
「些細な事で喧嘩してしまい、破局してしまった彼女にもう一度振り向いてもらうためだ!」
大声で叫んだ声は従業員室に響き渡った。
その大声で、眠っていた女性が目を覚ました。
「…!○○○!?如何して此処に!っていうか貴方何してるの?!」
「!●●●!?君の方こそ何故、此処に!!」
「「・・・え。」」
顔を上げ、この状況を目の当たりにした、●●●と呼ばれた女性が刃物を突き付けている○○○に反応し、男もそれに応える。
その状況をアリス以外の全員が唖然として観ている。
○○○は直ぐに刃物を手放して●●●に駆け寄り、●●●を抱き締める。
「御免なさい!私っ…」
「謝るのは俺の方だ!」
完全に二人の世界に入っている。
「おい、太宰。説明しろ。」
「否、私に聞かれても…。2人は元、恋人同士だったのだろうね?」
暫く続きそうな空気の中、太宰が実行犯の男に触れる、国木田は黙ってその様子を観ている。
「!」
眠っていた犯人の男がガバリと起き上がる。
「寝起き早々悪いんだけど、爆弾の解除方法を教えてくれるかい?」
「誰だお前!?って何で縛られてんだよ、糞っ!」
太宰の存在に疑問を抱くも、自分の置かれている状況に暴れ始める男。