第8章 爆破予告
「お客様!早く避難して下さい!当店には本当に爆弾が……おや?君は……」
従業員が慌ててアリスに話し掛けるも、その姿をしっかりと確認すると先程、探偵社の男性と一緒に居た少女だと気付く。
「何してるの?」
「支配人と共に、逃げ遅れている人が居ないかの確認をして……って、君の手の中に在るのはもしかして爆弾?!」
「?そうだけど。何で驚くの?」
「否、驚くに決まってるだろう?!君が見つけたのかい?!」
「うん。探せって国兄に言われたから。」
アリスはアッサリと首を縦に振る。
従業員は驚きを隠せない。
「君も探偵さんなの?爆弾の在処を推理?したり…実際に見付けたりしてるけど。」
「そうだよー。」
「爆弾、止まってるみたいだけど如何やって?」
……聞く必要ないよね……何故かな。
「…分かんない。国兄の処に持っていこうとしたら止まっちゃったの。結果オーライだね!」
「……そっか。」
こんな物騒なことに巻き込まれておきながら特に動じもせず、ニコニコして爆弾を抱えている少女に何を思っているのか。
従業員は複雑な顔をしている。
矢張り、おかしい。
「あ、お兄ちゃんも持つの手伝ってくれないかな?持ちにくくって困ってたの。」
「えぇ?!そんな危ないものを?!」
アリスの突然の提案を、手を前に突きだして横に降りながら拒否の姿勢を示す。
「こんなにか弱い女の子が持ってるのに…はぁ。もういいもん。これだから大人は。」
大袈裟に溜め息をついてからその場に一旦爆弾を置き、携帯電話を取り出し、電話を掛け始める。
「あ、国兄?」
『アリス!今何処だ?!』
「4階だよ。4個、無事に回収したから今からどうしようかなって思って。」
『何!?もう見つけ終わったのか?!』
「?うん。国兄はまだ?今2階?」
『否、すまない。今6階を降りていた所だ。』
「!」
6階?真逆………
『直ぐに4階に向か……』
「……治兄も一緒だね?」
「『!』」
アリスの纏う空気が一気に氷点下に下がった。