第8章 爆破予告
はぁーと長めの溜め息を付く国木田。
「呆れてものも言えん。後できちんと謝れ。」
「炭に成れって言われたんだよ!?きっと口も聞いてくれない!」
「お前が招いた事態だ。自分で何とかしろ。」
「そんなこと言わずに!私達、数多の苦難を共に乗り越えた相棒じゃあないか!」
必死に国木田にすがり付く太宰。実際に国木田に纏わりついている。
「夫婦喧嘩は犬も喰わぬと言うだろ!こういうのは第三者が関わると余計に拗れる!」
2人のやり取りをポカンと見ていた女性と支配人だったが、支配人が太宰の手に在るものを見てハッとし、慌てて口を挟む。
「国木田さん!急がないと時間が!」
「!」
国木田が持っている爆弾のタイマーは20分を切ろうとしていた。
「急ぐぞ、太宰!っておい!それはアリスが止めた筈ではなかったのか!?」
「…私が触れてるからね。アリスは態と置いていったのだよ。」
「何れだけ怒らせたんだ、全く!早く合流するぞ!」
そういって足早に下の階へ向かおうとしたが。
「駄目ですわ!太宰様は私と此処で最期を迎えますのよ!邪魔しないで!」
切羽詰まっている国木田の行動を遮ったのは矢張り、一緒に居た女性。
太宰は溜め息を付いて目を伏せた。
「此のままでは大惨事になる!死にたいなら他所を当たれ!他人を巻き込まれねば死ねないくらいなら死ぬな!」
「!」
そんな女性をすごい剣幕で怒鳴り飛ばす国木田。
女性は急に力が抜けたようにその場に座り込んだ。
「支配人。その女性を安全な所へ避難させてくれ!」
「分かりました!」
支配人は女性の腕を自分の肩に掛け、半ば引きずるようにその場を離れていく。
「助かったよー国木田君!」
「後の事は知らんからな!」
太宰と国木田も走ってその場を去った。
―――
「ふぅ。此れで4個目っと。流石に重ばって持ちにくいなぁ。」
太宰と国木田がそんなやり取りをしているなんて露知らず。
アリスは4個の爆弾を回収し終えていた。
その小さな腕にもつ爆弾は各々違う数字で停止しており、一番小さな数字で18。
残り時間がもう殆んど残っていない状況だ。
「にしても予想より残ってる人居なかったな。皆ちゃんと避難したんだね。」
偉いなー等と呟きながら今から如何するか考えていると突如、男性に声を掛けられた。