第8章 爆破予告
『心中詐欺師って…一寸傷ついたよ、私。』
「そんな事など知らん。お前と違って俺は今忙しい。切るぞ。」
『待って!大変な事態なんだ!』
「!どうした?」
尋常じゃない様子の太宰の声に、話を聞きはじめる国木田。
しかし此方も云うほど時間はないが。
『私は国木田君が揃えなければと言っていた備品を買いにデパートに来ていたのだよ』
「何!?」
太宰が?俺の言っていた事をきちんと聞いていた?!衝撃で太宰の話を真剣に聞き始める。
『そしたらそのデパートで爆破予告の放送が有ってだね。件の爆弾を探しているところなんだ。今、手元に1つ在る。』
「真逆、お前も同じデパートにいたのか!」
『国木田君も居るのかい?!それなら良かった!時間がない!段取りをしたほうが効率良く探せる。7階に来てくれるかい?!』
「分かった!7階だな!?直ぐに向かう!」
待ってるよーという太宰の声を聞き、電話を切る。
「同僚が此処に居た!もっと効率よく解決できる筈だ!」
「そうですか!それなら早く合流しましょう!」
そう話終え、2階へ行く筈だった2人は7階へ向かった。
―――
「で?」
「何だい?」
米神に青筋を浮かべ、合流した太宰を見る国木田。太宰は手に爆弾を1つ携え、隣には美人がピッタリと引っ付いていた。
「説明しろ。」
「彼女、死にたいらしくて離れてくれないのだよ。」
「お前が唆したんだろ?」
「真逆!」
「酷い!太宰様!私の事は遊びだったのね?!」
泣き真似をし始める女に、戸惑う太宰を冷ややかな目で見る国木田と支配人。
「まぁいい。爆弾を見付けてくれたことに代わりはない。7階は何処に在った?そういえば太宰。お前、アリスに会わなかったのか?このフロアはアリスが探している筈。お前が見つけたなら連絡せねば」
「・・・。」
ケータイを取り出した国木田の手を無言で掴み、制止する。
「真逆…」
「……これはアリスからのプレゼントなのだよ。」
「……この状況で遭ったんだな?」
国木田は太宰に寄り添う女性をチラッと見て、飽きれ気味に言う。
「だから言っただろう?『大変な事態なんだ』と。」
太宰はガックリ肩を落として国木田に告げた。