第8章 爆破予告
「あーもう。苛々して集中出来ない!」
ある程度、予想箇所を探してから独りで叫ぶアリス。
先程の光景が頭をちらつき、集中出来ないらしい。
キョロキョロと目的のものを探すが見付からない。
先程までの余裕も無いようだ。
今も2人の世界を築いて話しているのだろうか。
そう思うと7階から一刻も早く去りたい一心のアリス。
「……治兄のバカ…。」
あの場面は、何処から如何見ても女性が一方的に太宰に言い寄っているようにしか見えなかったがアリスには違うように写っていたのか。
或いは、違う理由があって太宰に怒っているのか。
小さく呟いた後、しゅんとしながら歩くアリスの目に、防犯カメラが写る。
「………真面目に探す気だったけどやーめた。」
持っていた携帯電話を出す。
「ハッキングして映像解析しよ…。」
其れから僅か3分後、7階の爆弾を発見したアリスは直ぐにその場を去った。
―――
「何処だ…何処にある?!」
必死に辺りを探す国木田。
此処に来るまでに爆破予告をデマだと思い込んで残っていた連中を怒鳴り付けながら避難指示を出し、他に人が居ないかを確認しながら、やっとの思いで着いた3階の右側付近。
休憩出来るように椅子やテーブル、自動販売機等が置かれたスペースだ。
『誰にも怪しまれず、且つ見付からずに7個も仕掛けたってことは、複雑な隠し方はしてない筈。それに、バッグとかに入れたりもしてないと思う。遺失物として動かされたら計画が狂って困るだろうし。でも全部の階に短時間で爆弾の仕掛けを済ませるなんて難しい筈だから、もしかすると―』
アリスが1個目を見付ける直前に言っていた言葉を思い出しながら、それらしい場所を探す。
「在った!」
見付かった2個目は休憩スペースに設置されていた鑑賞用の植木と植木の間に置いてあった。
若干、その姿が見えていたが普通に過ごしていたら特に気にならない程度の見え方。
正にアリスの想像通りだ。
「…味方だと、こうも心強いとは。」
手の中にある爆弾を見ながら呟いた。