第8章 爆破予告
「国兄、爆弾は時限性のもので各階に1個ずつ。此の建物は直方体だから…多分2・4・6階は真ん中付近。中央はエスカレーターがあったからその周辺かな。其れを基準に左右に階段状…1階と5階、3階と7階が同じ位の位置にある筈だから、先ず1階を探して右か左かを明確にした方が早いかも。」
ざわっ
店員達が騒然とする。
今の会話だけで何故―――!?
「解った!行くぞ!」
「はーい。」
何処から如何見ても小・中学生にしか見えない少女が、僅かな会話だけで爆弾の数と場所を断言し、国木田も疑わずに行動に移ろうとしている異様な光景に従業員達は開いた口が塞がらないでいた。
故に、その内容に一番過敏に反応したのは犯人だ。
「違う!その餓鬼が言うことは出鱈目だ!」
「!暴れるな!」
急に暴れ始める犯人を従業員は必死で抑えるが、火事場の馬鹿力でも発揮されているのか。
人数の多い従業員が圧される。
其れに気付き、アリスが国木田に目配せする。
国木田が頷くのを確認して犯人の方を向く。
「図星だからって見苦しいなぁー。『出鱈目』って言ってくれたお蔭で私は本当だと確信できたから良いけど。」
「うるせぇ!痛い目に合わせてやる糞餓鬼が!」
「はいはい。『おやすみなさい』」
「!」
突然、ガクッと力が抜けて崩れ落ちる犯人。
従業員が一斉にアリスを見る。
アリスはふふっと笑っているだけだ。
「今の内に紐で縛っておけ。時間が無い。急ぐぞアリス!」
「はーい。」
国木田が素早く従業員に指示を出し、何事もなかった様に去っていく2人。
其れを従業員はポカンとした表情で見送った。
そして話は冒頭に戻る――