第8章 爆破予告
「其の男は先日、解雇になった男なんです。」
「こんな店、最初から無かったことにすれば俺の経歴は傷付かずに済む!」
狂ったように笑いながら言う男に、従業員たちは怒りで顔を赤く染めている。
「貴様の都合など如何でもいい!爆弾は何処だ?!言え!」
「教える訳ねーだろ!」
はっと鼻で笑う犯人。
「話にならん。警察には?」
「通報してます!」
男と話す事を止める国木田。
「手分けして探す方が早いな。」
国木田が指揮を執ろうとした瞬間、犯人が高笑いしはじめる。
「1個だけだと思うなよー?こんな広い店だ。木端微塵にしてやるために沢山仕掛けてやったからな!」
「?!」
新たな事実が語られて、国木田も従業員も更に焦りが増す。
探すことをやめ、近隣にも避難指示を出す方が賢明か。
そんな中、たった1人。
何も語らずに国木田達のやり取りを見ていたアリスが漸く口を開く。
「ねぇねぇお兄ちゃん。」
「あ?何だ、この餓鬼。」
トコトコと、躊躇いもなく拘束されている男に近付く。
従業員が少し慌てるも、一緒に来た国木田を見るも止める気配が無い為、アリスの方に視線を戻す。
「私、爆弾って見たこと無いんだけどどんな感じなの?」
国木田は黙ってアリスを見ているだけ。
従業員もアリスを見ることにする。
「興味あるのか?」
「うん!だからあのお兄ちゃんについてきたのー。」
ニッコリ笑って国木田を指す。
男は国木田を一瞥し、直ぐにアリスに視線を戻す。
兄妹ではないと断言できる程に容姿が異なる為、アリスの発言を信じる犯人。
完全に子供だ、と油断している。
「爆弾は時間がくれば爆発する。俺達素人じゃ材料が限られてるからな!確実に消し飛ばすためには要点に置く必要があるから沢山仕掛けてやった。」
自慢気に語る犯人に、ニッコリ笑ってアリスは返答する。
「そうなんだー。ってことは7個かな?」
「!」
反応する男を見てアリスはクスリと笑い、国木田の方に戻っていく。
「…お前、その男に着いてきたんじゃ」
「そうだよ。国兄が爆弾を探すって云うからね。」
クスリと笑って犯人に告げる。