第8章 爆破予告
「国兄ー見付けたよー。」
「何?!何処だ?!」
アリスがのんびりと声を掛けたのと反対に、国木田は焦りが混ざった声で反応する。
「ほら」
アリスが指差す先を確認すると、間違いなく探していた物。
「よくやった!」
――2人の目の前に在るのは残り時間、1時間を切ったばかりの時限爆弾であった。
「此れで大体揃ったか。」
「一杯買ったねー。」
「嗚呼。これだから襲撃は厭なんだ。アリス重くないか?」
「平気だよ。有難う。」
「荷物が多くなることは予想済みだったから太宰に付き合わせる心算が…済まないな。」
「あはは。」
大量の荷物を抱えて歩く2人。
此処は7階建ての大型百貨店。日常茶飯事で起こる襲撃や不足分の備品の調達に国木田とアリスは来ていたのだ。
「まぁ、治兄のことだから今頃、川に飛び込んで水の中か、女の人に声を掛けて酷い目に合ってるかのどちらかだよ、きっと。」
「…其処まで識っていて、何で彼奴の恋人なんてやってるんだ?」
カラカラと笑いながら国木田に予想を伝えるアリスに疑問しか出てこない国木田。
「さぁー?治兄の考えは私にも解んないから。」
「?」
ピンポンパンポン―――
質問の答えが的を外れていたため疑問しか残らなかった国木田だったが、突如、響き渡る室内アナウンスの開始音で思考が遮られる。
『皆様!速やかにこの百貨店から逃げて下さい!この店には爆弾が仕掛けられてます!従業員も速やかにお客様の避難にあたりなさい!』
「「!」」
ザワッ
一瞬で混乱が生じ、客も従業員も逃げ惑う。
「爆弾だと?!」
「嘘じゃなかったよ。今のアナウンス。」
「!そうか。このまま放っておく訳にもいかん!詳しく状況を確認するぞ!」
「はーい。」
そう話し終えると2人は従業員室迄走り出す。
従業員の控え室の前には、従業員5人と、其の人達に囲まれた拘束されている男が1人。其の中で支配人と思われる男性が2人に気付き、慌てて話し掛ける。
「お客様!早くお逃げ下さい!当店には本当に爆弾が――」
「武装探偵社だ。其の男が犯人か?!」
「!」
支配人の言葉を遮り、国木田は話を始める。
時間が無いことはお互い理解するところであったが故に、支配人は自己紹介を聞いた後、深く確認することなく説明し始めた。