第7章 陽の当たる場所
実年齢よりかなり幼く見えると言うことは其れほど迄に力を使わねばならない世界で生きてきたと言うことと同意だ。
「でもよくそんなに寝てて今まで無事だったね?僕なら寝込みを襲うけど。」
「「!」」
確かに。
全員がアリスの方を向く。
「私の異能力は自己防衛に特化した力だから。攻撃されたり、一定の間合いに見知らぬ人が近付くと例外で起きれちゃうんだよ。」
「!だから妾が近付いた途端に目覚めちまったのかい?!」
「あ、そうそう。初めましてだからねー。」
ふぁーと欠伸をしながら答え、後ろの人物に話しかける。
「治兄……。」
「試験。」
「……。」
今は話す気がないらしい。
心当たりは多すぎる。
アリスはため息をつく。
探偵社に入社する積もりなど無かった。
以前、福沢たちに誘われた際には「アリかもしれない」と思えていたのに。
頭が追い付いていないのか……。
否、ただ単に不安だからか。
「そろそろ入社試験とやらを始めてくれないかな?」
「ヤル気になったか、小娘!」
「アリス。貴方に名乗るのは2度目なんだから覚えて。」
よっぽど12、3歳にみられたのが勘に障ったのか、国木田に冷たいアリス。
「?」
身に覚えがない、と言わんばかりに首を傾げる国木田。
「で。何するの?」
「乱歩さんと神経衰弱だ。」
そう国木田が言うと谷崎がカードを繰り始め、テーブルに並べる。
「………こんなので社員決めるの?」
「こんなのとはなんだ!これは厳正な会議の結果だな!」
「ババ抜きか神経衰弱か悩んで決まったの?」
「!?」
何故判った!?
「僕が勝ったらアリスは僕の弟子ね。君が勝ったら矢っ張り僕の弟子だ!」
「あれ?私、既に弟子じゃなかったの?」
「そうだった!じゃあ社員になるしかないねっ。」
「何で選択肢がおかしいのに誰も突っ込まないの?」
全員が目を反らす。
「まぁいいけど。治兄、いい加減に離して。このままじゃ負けちゃうじゃん。」
「負けたらいいよ。」
余計に腕の力を強めてアリスを拘束する。
「負けたら入社だ。」
「………。」
『大嫌い』の報復が返ってきた。
「太宰。お前、何時までそうしてる積もりだ?」
「寮に帰るまでだけど?」
然も当然の様に言って退ける。