• テキストサイズ

【文スト】不思議の国の異能少女

第7章 陽の当たる場所


「お前な…!」

「今、私が離れたらアリスの勝ちが決定する。」

「「!?」」

乱歩以外がざわついた。

「アリス始めるよー。」

「お先にどうぞ。」

乱歩がそう?と言い、2枚捲る。違う数字だ。

皆、ゴクリと唾を飲みながら静かに見つめる。

次はアリスの番。

「?!」

乱歩と同じカードを捲る。

「……。」

乱歩は何も言わず、次のカードを捲る。
また違った。
アリスも又、乱歩と同じカードを捲る。

「真面目にやれ!」

堪らず国木田が怒鳴る。

「私は至って大真面目だよ。」

アリスが反論する。
言い返そうとした瞬間、乱歩が口を開く。

「アリスの負けだよ。」

「え?!もう?!」

其れからは全部のカードを引き当てられる。

「あーあ。治兄のせいだからね!」

「ズルはよくないからね。其れに、私はアリスが負けた方が都合がいい。」

ムーッと唸るアリスに太宰が笑顔で答える。

「でも流石、アリスだね。本当なら2順目で勝てたのに。」

「!どう云うことだ?」

この言葉を聞いて驚く国木田達。

「新品のトランプは最初、綺麗に数字が並んでいるでしょ。だからカードをくる回数と並べ方を覚えてさえいれば確率計算で隣にくるカードを想像できる。」

「!」

乱歩に情報を与えないために同じカードを捲っていた意味を全員が理解する。

「せめて後2順待ってくれてたら勝てたのになぁー。」

「負けは負けだよアリス。今日から此処の社員だ!」

乱歩がそう言うと、わーっと拍手が起こる。
アリスは社員になることに納得した様子では無いが同意して溜め息を着いた。

そして太宰に寄り掛かり、顔を見上げる。

「治兄。」

「何だい?」

漸く話してくれるらしい。

「治兄には聞きたいことも言いたいことも一杯あるよ。」

「…うん。」

「でも時間切れ。」

「!」

苦笑しながら、抱き付かれる体勢から抱き付く体勢にかえる。

「全部7日後。其れまで側…置い…て…。」

綺麗に言い終えることなくアリスは眠りに就いた。


「無理させてたンですね。」

「其の様だな。」

全員でアリスの方を見る。


「ゆっくりお休みアリス」

太宰はアリスの頭を撫でながら静かに云った。
/ 565ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp