第7章 陽の当たる場所
光が消え失せてから部屋に入ってくる▲▼。
死体を確認しようと気分よく入ってきたのだが
「何ぃ?!」
目の前の光景に驚愕の表情を浮かべた。
国木田も自分の両手を見つめ、呆然と立っていた。
「あのレーザービームは殺傷能力が無いとでも言うのか?!」
確かに光の線は3人に降り注いだ筈だった。
▲▼は頭上を見る。
「貴方の誤算は只、1つ。」
光の固まりが、光線銃の先端に在る。
光が到着する前にアリスが止め、それを発射寸前の状態にしている。
発射時の状態まで、光線銃だけの時間を巻き戻したのだろう。
「!」
アリスが何かを企んでいる事に気付き、太宰がアリスを捕まえる。
異能力―――『人間失格』
「私の異能力を知らなかったことだよ。」
そう告げた瞬間
「!?」
ギャッ
否。太宰がアリスに触れた瞬間に一筋の光が▲▼を貫き、短い悲鳴の後、肉塊へと変えた。
「……。」
国木田は呆然とする。
「もう離して。太宰さん。」
「出来ない。」
動いているのは太宰とアリスだけだ。
「利用されたんだよ。分からない?」
アリスは太宰の手を振りほどこうと抵抗を始める。
「矢張り、あれは娘がやったのか?」
やっと声が出る国木田。
「止めを刺したのはレーザービームでしょ?」
「…私か。」
2人の会話を聞いて1人で納得する太宰。
「如何いうことだ?」
「簡単なことだよ。アリスの異能力でレーザーの放出を止めていたところ、私が『人間失格』で解消してしまった。」
「!」
説明を聞くと国木田は怒りを交えた表情になる。
何かを言おうとするも、殺しの片場を担がされた当人は平然としている。
国木田の代わりに太宰に怒りをぶつけたのはアリスだった。
「何で怒んないの?」
「私にとっては大した事では無いからだよ。アリスなら知ってると思うけど。」
「……。」
「そんなことよりも『太宰さん』の方がよっぽど大事、だ。」
「!」
掴んでいた手に力をいれてアリスを引き寄せる。
太宰の力に異能力を封じられたまま勝てる訳もなく、ぽすっと太宰の懐に納まるアリス。
「もう終わったのだよ。一緒に帰ろう。」
太宰が優しい声音でアリスに話し掛け、抱き締めた。