第7章 陽の当たる場所
太宰は首を横に振る。
「あの子は常日頃から『魔法が使える』と云っていたそうではないか。既にリストに上がっていたのだよ。だから調査員が行った。アリスが告げようと告げまいと未来は変わってないよ。」
「そう。」
太宰の言葉に目を伏せる。
「君が探しているのは此れだろう?」
「!」
太宰が1冊の手帳を取り出す。
中りなのか、と呟く国木田。
「その手帳には何が?」
「以前、行われていた同じ研究の記録が記されているんだよ。」
「何?!」
「結構良いところまでいったみたいだね。」
手帳をパラパラ見ながら答える太宰。
「然し、実験が完了する前に事故が起きた。それで実験施設は壊滅。」
「そんな話、聞いたこと無いぞ?!」
「その実験に関係していたのはマフィアをはじめ、軍警、大物政治家だったのさ。」
「…隠蔽か。」
国木田と話していた太宰がアリスの方を向く。
「▲▼はこの実験の事を自白した。その証拠も此処にある。だからもう…。」
「止めないよ。行くのは留置所でしょ?金さえ積めば鍵の無い部屋の様に直ぐに出られる。」
鼻で笑って一蹴するアリス。
「この件が世間に広まれば小娘が思ってる程、簡単には――」
「広まったら駄目なんだよ!何で解んないの?!」
「!」
突然の大声に口をつぐむ国木田。
「その事を識ったら、今回みたいに自分達の利益の為にまた同じことを繰り返す大人が出てくる!何で何も分からない子供達が大人の欲望の為だけに犠牲にならなきゃ駄目なの?!貴方達大人は神様な訳?!」
アリスが一気に話しきる。
困惑する国木田に太宰が何かを話そうとした瞬間、スピーカーが音を発した。
『その通りだ、娘。この世において私は神に等しい権力も財力も全て持っている!』
「ほら。馬鹿は死ななきゃ、永遠に続く。」
太宰達は返す言葉を失った。
光が3人の頭上に集まる。
「レーザービームか?!」
「大人しく着いてきたのは此れで一片に始末するためか。」
あ、此の頁に天井に光線設置って書いてあるよ、等と国木田に手帳を見せる太宰。
「何をそんなに落ち着いている!逃げるぞ!」
『無駄だ!もう充填も終わる!』
はははと高笑いする▲▼。
『死ね』
短い言葉の後、光が圧縮された線となって3人に降り注いだ。