第7章 陽の当たる場所
「どうかした?」
太宰が質問し、
「何の話だったか?」
国木田が谷崎見て、
「少女の異能力の話じゃなかったですか?」
谷崎が乱歩に話題を振り、
「あれ?アリス、どんなことしてたっけ?」
先程まで答えられていた乱歩が頭を捻る。
「!?」
しまった!
「何を驚いている?太宰。早く少女の異能力について話せ。」
倉庫にいた全員の記憶
『アリスの異能力』についての記憶が無くなっていた。
「太宰?」
焦っている太宰に社長が問う。
「………先手を打たれました。」
「「「!?」」」
「異能力について認識させない積もりです。」
「!」
「お前の『人間失格』でどうにかならなんのか!?」
国木田が提案するが首を横に振る。
「『記憶』なんて曖昧なモノ、私は触れられない。」
「!」
そりゃそうだ。
そう思った瞬間に響く少女の声――。
「……人間失格でどうにか……」
「抑も、何をどうするために人間失格で……。」
国木田達の会話を茫然と眺める太宰。
記憶改竄ですら記憶させない積もりらしい。
「勝てない……。」
小さい声で太宰が告げる。
「目的は何か判るのか?其方を先に押さえれば或いは状況を変えられるかもしれん。」
福沢がアリスの目的を問う。
「アリスの目的は▲▼を始末することです。」
「「!!」」
全員が驚愕する。国木田に至っては立ち上がるほどだ。
「何故だ!否、まて。抑も、少女が殺しだと!?」
「アリスは見た目ほど幼くはないのだよ。」
「其所はどうでもいい!殺しのところだ!」
国木田が怒鳴る。福沢が腕を組む。
「理由はなんだ?」
「……恐らく、一連の誘拐事件の黒幕です。」
「「「!」」」
「アリスの情報収集力は私達を遥かに凌ぎます。確信出来る証拠を入手したのでしょう。」
「そういえば『情報屋』してるって云ってたね。」
乱歩がポツリと云う。
「私達と接触した時点でアリスが動き出している可能性が高い。時間はあまりありません。」
「!」
太宰の言葉で全員に緊張が走る――。
「国木田、太宰。▲▼の護衛依頼を引き続き遂行せよ。」
「「はい!」」
2人は会議室を出ていった。