第7章 陽の当たる場所
只の少女だと思っていた故に、恐怖は更に加速する。
「じゃあいいよ。」
少女が笑い掛ける。
乱歩が次に起こる事を阻止する為、叫んだ。
「不味い!谷崎、止めるんだ!」
「えッ?!」
意味も判らず、アリスに手を伸ばす谷崎。
『マッドティーパーティー』
然し、僅かにアリスの方が早かった。
カツンッと靴で地面を叩き、音をたてる。
一瞬だ。一瞬でアリスが消える。
「消えた!?」
同時に周りを囲っていた男達も1人残らず消えてしまう。
「遅かったか…。」
乱歩の声だけが空の倉庫に響いた――。
―――
「乱歩さん!谷崎!」
アリス達が消えてから暫く経って、国木田と太宰が慌てて倉庫に入ってくる。
「国木田さんに太宰さん!」
谷崎が安堵の息を漏らす。
「…如何いうことだ?何も無いようだが…」
少し怪訝そうに谷崎を見る。
が、乱歩や谷崎が嘘の電話で業務を妨げるわけが無い。
狼狽している谷崎にそれで?と続きを促す。
「其れが…消えちゃったンですよ。俺達を取り囲んでいた奴等が…。」
「何?!詳しく説明を―」
国木田が谷崎に話し掛けると同時
「ゥ゙……っ」
ドサドサッ
目の前に男達が山積みで現れる。
「「「!」」」
全員が血塗れ。
辛うじて生きているかの重症だ。
「一体何が?!」
驚いている谷崎。国木田も周囲を警戒する。
「あれ?もう来ちゃったんだ。」
「!」
突如する少女の声。
「アリス…」
その声の方向を一斉に見る。
「あの少女はカメラに映っていた……」
見覚えのある少女に、国木田が太宰を一瞬見る。
しかし直ぐに視線をアリスに戻した。
「此れはお前の仕業か?」
「さぁ?」
真剣に尋ねる国木田に対し、クスクス笑って答えるアリス。
真面じゃないな。
国木田の表情が険しくなる。
「若しそうならば見逃す訳にはいかん!」
そう言いながらアリスに向かっていく国木田。
「止すんだ!国木田君!!」
太宰が慌てて叫ぶ
「私に近付かないで!」
「!」
が、間に合わず国木田は見えない力に圧され、凄い勢いで壁まで飛ばされ、打ち付けられる。
「がはっ!」
「国木田さん!」
谷崎が駆け付ける。国木田は気を失っていた。