第7章 陽の当たる場所
「不味いッすよ、乱歩さん!国木田さんなら兎も角、俺は戦闘向きじゃ無いし、こんな人数相手じゃ細雪でも!」
「じゃあ国木田に電話して。」
「国木田さんは今、太宰さんと一緒に▲▼の護衛依頼を任されてます!此方に呼ぶことは不可能ですッて!」
「!」
▲▼……!?
護衛依頼って……狙われていることがバレたってこと!?
真逆、治兄が………
「今日の▲▼の予定は軍警との会合だよ。今なら間に合う。」
「!分かりました。」
そう言うと直ぐに電話を掛け始める谷崎。
谷崎と会話していながらも、▲▼の名前が出た途端にアリスの表情が険しくなったことを乱歩は見逃さなかった。
「増援を待ってやるほど俺達は優しくない。」
男達が銃を構える。
「そりゃそうだろうね。でも僕達を襲う理由くらい聞いてもいいだろ?」
乱歩は怯まず相手に問う。
乱歩が時間稼ぎをしている間に自分の出来ることを探す谷崎。
「俺達●○は壊滅した!手前等、武装探偵社以外こんなこと出来る奴居ねだろー!」
「はぁ?そんなことした覚えはないけど。ねぇ、谷崎。」
「えっ、あ、はい。●○と言えば相当名の通ったマフィア。幾らうちでもそう簡単には…」
「手前等じゃなけりゃ誰だって言うんだ!軍警が動く訳ねーんだよ!」
「!」
軍警ガ動クワケナイ――?
嗚呼、ソウカ。
此奴等モ。
アリスの頭の中の声は既に異常。
江戸川乱歩……。
この人が一緒に居る今、動けば『武装探偵社』に一連の騒動が発覚してしまう。
そんな正常な思考を飲み込むほどに。
「私だよ。」
「「?!」」
探偵社組とマフィア組の言い争いを黙ってみていた
……。
否。
正常と異常が争っている間、現世に居なかったアリスが口を挟む。
異常に賞杯が上がったのだ。
全員の視線がアリスに集まる。
「そんなことより、軍警が動かない理由を教えてくれる?●○と○●、結構派手に壊したのに表沙汰になってないんだもん。誰が握り潰してるのかな?」
急に割って入っている少女の表情は――無い。
「何…だお前は…そんなこと教えるわけ…。」
●○とだけ告げたはずが、共に消された○●の話題まで出した少女に恐怖を覚える男達。
男達は●○と○●、両方の生き残りの集まりだったのだ。