第7章 陽の当たる場所
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「そういえば前にも似たようなことがあったね。」
「そうそう!雪の日だったね!」
「否、そんな暖気に言ってる場合じゃ無いッすよ!」
此の状況に焦りもせず、和気藹々と話をする乱歩とアリス。其れに突っ込まずには居られない谷崎がいる今の状況は正に袋の鼠。
2、30人程の武装した男達に囲まれている。恐らくマフィアであろう。
抑も、特に接点の無いアリスと乱歩達が一緒に居る事が稀な状況だ。
話しは数時間前に遡る―――
アリスは様々な店が並ぶ大通りを歩きながらメモ帳と地図を見ている。
「…最近ではサプリメントの企業に肩入れしてるなんて噂も有ったけど……あ。」
ブツブツ言っていたが、何かが閃いた様で顔をあげる。
「製薬工場なら『実験室』を堂々と唱えるし、機材も集められるんじゃ!」
慌ててメモを確認するアリス。
そんなときだった。
「キャーッ!危ない!」
「?」
突如、悲鳴が聴こえて歩みを止めるアリス。
何事かと周囲を伺う前に。
「!」
上から何かが通りすぎて
ゴシャッ!
直ぐに凄い音を奏でた。
真っ赤な液体が溢れ始めた其れ。
その液体は周囲にも飛び散る。
人だったものが動かなくなった。。
周囲の人は混乱し、悲鳴を含む大声が飛び交う。
「人が降ってくるなんて最悪だよ。」
そんな中、平然と呟いたアリス。
一番近くに居たのにその身に赤い染みなど無かった。
男性が近付き、話し掛ける。
「君、怪我はない?!直ぐ警察が来るから動いちゃダメだよ!」
このまま立ち去る気だったアリスだが、普通なら動けない様な光景を目の当たりにしている状況。
変に反応して印象に残すのも、と考え、男性の言葉に無言で頷いた。
暫くして駆け付けた警察官と共に現れたのが、乱歩と谷崎だったのだ。
別件の殺人事件を解決した矢先の通報だったらしくついてきたらしい。
この後は乱歩がアッサリと事件を解決し、アリスとの再会を喜んで一緒に現場を離れた。
ところが更に以前と同様、何者かに奇襲を受けて近くの倉庫に誘い込まれた。
そして現在―――。
冒頭にあったように武装集団と対峙しているのだ。