第7章 陽の当たる場所
「○×といい、●○等といい、一体何をしていたんだ?」
「さぁな。俺が知っているのは多額の資金を動かし、人攫いに加担していたことだけだ。」
「人攫い、か。」
恐らく、ここ最近の誘拐事件の黒幕は●○と○●の構成員、そして○×なのだろう。
表と裏の人間が組めばお互いの欠点を補い、完全犯罪に近い行動が取れる確率が上がる。
「だがボスの見解はもっと大きいものだった。」
「へえ。どんな?」
中也は帽子を被り直す。
「「反逆を目論んでいた可能性が高い」だとよ。だから企業を切り捨てることを選んだ。」
「成程。其れで始末しに来たが既に片付けられていた、と。」
「中りだ。」
「次はポートマフィアを潰しに来るかもよ?」
太宰はヘラッと笑う。
中也は溜め息をつく。
「反対だ。手前、矢っ張り本調子じゃねーな。」
「私は至って普通だけど?」
自覚がないらしい太宰の反応に舌打ちする中也。
「ボスの処に先に現れてから、○×の潰しに掛かってるんだよ『アイツ』は。」
「?!」
この時点で、信じたくなかった犯人が確定する。
「ボスは理由こそ聞いてないって云ってたが、アイツの話には納得はしたんだろう。直ぐに手を打ったが遅かった。まあ此の状況も予想済みだったがな。」
「中也を此処に寄越したのはあくまでポートマフィア自体の潔白を証明するためか。」
「そういうこった。」
漸く頭が回ってきたか。と息をつく。
何か考え始めた太宰。
「いい加減、止めねーと被害は拡大するぞ。」
「判っているさ、其の位。」
そうかよ、そう言うと背を向けて立ち去ろうとする中也。
太宰は辺りに何か手掛かりがないか探し出す。
そんな姿を見て中也は溜め息をつき、振り返る。
「1つ教えてやる。此の件に関わっていて被害に遭ってないのは後1人、▲▼だけだ。」
「!▲▼…あの大物政治家の?」
「ああ。後は手前で探れ。」
「……。」
今度こそ中也はその場を去った。
どんな理由でこのような事件が起こっているのか。
何故、彼女と連絡が取れない…否。彼女が関わっているのか。
『多額の資金』
『関連者の突然死』
『軍警の圧力』
何処かで聞いた話だ。
『人攫い』
『―――魔法使い』
カチッ
全てのピースが繋がった。
「真逆――」
太宰は直ぐにその場を後にした。