第7章 陽の当たる場所
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太宰はとある場所に来ていた。
「次は恐らく……」
倉庫街の1つに在った○×と云う名の会社。
倉庫の中に事務所があり、其処で仕入れた輸入品等を取引先に送る手配をしたりと1つの倉庫で全ての業務を熟す小規模の企業だった。
取引をする上司と荷積みの下っ端が片に分かれていないため纏めて扱い易く、ポートマフィアが目をつけるのも無理も無い話だ。
「!」
倉庫群の中で唯一、炭と化している建物が目に留まる。
「遅かったか」
元○×だった建物。
その中に侵入する太宰。
入る前に、左右に建ち並ぶ倉庫を確認したが一切の被害がない。故意に○×だけを襲撃しているようだ。
「完全に怒らせているようだね……。」
中の被害状況を確認していると炭の固まりに気付く。
恐らく、人だったと思われる炭。
それが20個ほど転がっていた。
其の近くには溶け掛けた銃なども散乱している。
「!」
不意に人の気配を感じ、目線を上げる太宰。
「やぁ。来ると思ってたよ。『中也が来る』とは思っていなかったけどね。」
「何で手前ぇが此処にいんだよ。」
心底嫌そうに返事が返ってくる。
然して驚きもせずに返事したのは太宰の元相棒、中原中也だった。
「そういう中也こそ如何して此処に?」
「来ると思ってたんだろ。手前ェに言う心算なんて無ぇよ。」
ケッと云いながら外方向く中也。
「アリスが行方不明だ。」
「……。」
太宰ですら事の真相に行き着いてねェのか。
何かを考え、中也は大きく息を吐いた。
「○×は確かに俺達の傘下だったが、切り捨てることが決定した。」
「へぇ。何で?」
「此奴等と同じ事をやっていた組織が昨日だけで2つ潰されてる。」
「其れだけの理由で?ポートマフィアとあろうものが―」
「●○と○●だ。軍警が圧力を掛けて表沙汰にはなってねーがな。」
「!」
●○と○●だって……?
どちらも厄介な異能者が仕切っているマフィアじゃないか。
中也の口から出た組織名を聞いて太宰は眉を寄せる。
どちらもポートマフィアに負けない程、名を馳せていたマフィアだ。
「やっと判ったか?只事じゃねーのが。」
「……。」
其れをたった1日で2つも壊滅させているとなると確かに只事では無い。