第7章 陽の当たる場所
「あ?何だ?もう一度言え!」
故意では無いにしろ驚かされた為、少々荒っぽく太宰に言う国木田。
「…此の少女は私の知り合いだ。」
「!」
画面に現れたのは日本では珍しいミルクティー色の髪の毛の少女。
見間違う事など無い。
「其の少女に話を…」
国木田の台詞の途中で太宰が首を横に振る。
「彼女も一昨日から音信不通なんだ。」
「何?!行方不明か?!今は軍警が過剰な程、直ぐに行方不明と判断するのに一昨日からだと?!」
「否、彼女は―」
そう太宰が言い掛けた時、国木田の電話が着信を告げる。
「はい、国木田―――何?!」
「!」
電話に出た国木田が深刻な顔になる。
話し終えてピッと電話を切るのを確認して太宰が話し掛ける。
「何?如何かしたの?」
「……⊿⊿議員が遺体で発見された。」
「!」
太宰の中で嫌な予感が、とある確信へと変わりつつあった―――。
―――
太宰と国木田は手掛かりを求めて⊿⊿議員の遺体が発見された場所に来ていた。
⊿⊿議員の所有する屋敷の1つ。そこにあった書斎。
近所の人達が銃声のような物音を聞いたため通報し、事件が発覚したらしい。
「⊿⊿議員が所持していた銃の弾が死因だそうだ。警察は他殺と自殺、両面で調べている。如何思う?」
「他殺だろうね。」
「然し、何も痕跡が残っていないのだぞ。」
机を漁っていた太宰が1つの書類を手に、はっきり答える。
「何故言い切れる?」
「此の書類。」
はい、と国木田に渡す。
国木田は受け取ると直ぐに目を通し、納得した。
「○×社への資金提供か。成程。○×社といえばポートマフィアの息が掛かっているとの噂がある。」
「……。」
太宰は何も言わずに机を漁り続ける。
「然し、マフィア迄絡んでくるとなると骨の折れる仕事だな。」
ふぅと一息つき、国木田が頭に手を当てる。
其のまま家捜しを行い、議員の家を出たのは午後9時時を廻った頃だった。
「取り敢えず、社に戻って簡単に報告書を――ん?」
何時の間にやら太宰が隣に居ない。
振り返ると、
「あ、急用を思い出した!後は頼んだよー国木田くーん!」
と言い、反対方向に走り去る太宰の姿。
「待て!太宰ー!」
直ぐに太宰の姿は見えなくなった。