第7章 陽の当たる場所
吸い込まれるように公園の中に入っていく。
公園の中には数人の子供が居た。
「……?」
皆、暗い顔をしている。
遊びににているのに?
「如何したんだい?暗い顔をして。」
太宰は子供達に話し掛ける。
突然、話し掛けられて驚く子供達。警戒する目で太宰を見つめながら1人の少女が口を開いた。
「◇◇が死んじゃったの。」
「!」
被害者の友人だったか。
太宰の詠みは当たっていたのだ。
1人が話し出すと、子供達は次々に話始める。
「◇◇は魔法使いだったんだ。だから悪い奴と戦って…。」
「嘘じゃないよ!◇◇は僕たちを車から守ってくれたんだ!」
魔法使い
何故か、その単語が太宰の中で響いた
―――
住宅街近くの喫茶店。
国木田より一足先に着いた太宰は携帯電話を見ながら紅茶を飲んでいた。
カラン
入店を知らせる鐘が鳴り、先程まで持っていなかったノートパソコンを手に、国木田が現れる。
「済まない。遅くなった。」
「否、時間ぴったりだよ。流石、国木田君。」
ニッコリ笑って国木田に反応し、携帯電話を仕舞う。
「お前の読み通り、映像に加工が見付かった。」
店員に紅茶を注文した後、直ぐに本題に入る。
「◇◇が誘拐されたとされる3日前の映像が、4日前の映像と全く一緒だった。」
「…。毎日通勤時間が一緒。とかではなく?」
「其の可能性も否定は出来ん。実際、通る車や人物は殆ど同じもの、同じタイミングだった。」
「では何故?」
「とある少女がこの2日間の映像に同じ格好、同じ時間、同じ行動で写っていた。」
此れを観てくれ。
そう言いながら、パソコンの画面を太宰に向ける。
画面は大きく2つに分かれており、右には3日前の、左には4日前の日付が表示されている。
其の2つの画面は更に16ずつの小さく分かれた画面で構成されていた。
件の少女が映る画面なのだろう。
其の映像は、国木田の言う通りに確かに同じ動きをしている。
「?!」
その映像を呆然と観ていた太宰がガタンッと大きな音を伴いながら急に立ち上がる。
丁度、国木田が言う少女が出てきたところだった。
「何だ急に?!」
流石に驚く国木田。
然し、太宰は其れ以上に驚いた表情をし、囁き声程の音量で何かを云った。
「アリス…」