第7章 陽の当たる場所
アリス達は公園の入り口まで来ていた。
「あ、あの子じゃないですか?」
「えっ……あ!」
アリスの指差す方向を見る母親。
その指先には5人の子供達が遊んでいた。
「◇◇は嘘吐きだー。」
「嘘じゃないもん!本当に魔法が使えるんだもん!」
母親が其れに気付き、駆け寄る。
「◇◇ちゃん!」
「あーママだー!」
子供抱き締める母親。
子供はどうしたの?という顔をしている。
「何処に行ってたの!」
「?ずっと公園で遊んでたよ?あ、ボールを探しに行ってたかも!」
子供の返答に安堵して、笑顔になる母親。
―――羨ましいな……
アリスは親子のやり取りを微笑みながら見守る。
「もう暗くなるから帰りましょ。ほら、皆もよ。」
「「はーい。」」
子供達は元気好く返事して、皆で公園の外に向かった。
「無事で良かったですね。」
「はい。早とちりだったみたいでお恥かしいです。」
「そんな事無いですよ。」
申し訳なさそうに云う母親に笑顔を返す。
「手伝って頂いて有難うございました。」
「いえいえ。」
優しい人。
こんな大人ばっかりだったらあんな思いせずに済むんだろうな……。
「ママー。」
「なあに?」
「皆が魔法使えるって信じてくれないのー。嘘吐きって云うのー。」
母親と手を繋いで歩く◇◇が話し掛ける。
「魔法は皆に見えないものなのよ?だから内緒にしないとダメなの。ママと◇◇の秘密。」
「そっかー。」
母親の言葉にシュンとする◇◇。
魔法……?
もしかして異能力者……?
アリスの頭に過去の映像が過る。
「……魔法が使えるんですか?」
アリスが真顔で尋ねると母親は小さく首を振り、小声でアリスに言った。
「魔法使いの出てくる子供番組を観て、自分も魔法が使える心算でいるんです。」
「そうなんですね。」
◇◇に聞こえないように小声で苦笑しながら話す母親。
其れでも否定する事なく信じてあげている。
子供の事を大事にしている気持ちがアリスに伝わる。
此の母親ならば、譬え本当に異能力者だったとしても大切に匿う道を選ぶのだろう。
本当に羨ましいな―――。
「お姉ちゃん、ホントだよ?私、魔法使いなんだ!」
「そっ……」
そっか。と返事をしようとした時だった。