第1章 悲しい別れ
彼は愛紗に色々な事を教えてくれた。
テレビなんて今まで見た事の無い、楽しい物が、愛紗の部屋に置かれたのも彼の手柄である。
スイッチを入れるのは世話役の仕事だ。
「もうすぐテレビの時間だね」
ケーキを食べるのを止めて、世話役がテレビにスイッチを入れた。
先週の続きがどうなるのか、ケーキを置いてドキドキしながらテレビの前に場所を移す。
するとどうだ。
部屋に設置されてる電話が鳴り響く。
「これからいい所なのに!」
嫌々ながら立ち上がり、電話を取る。
話す事が出来ない男は電話番は無理だ。
要件を聞けたとしても、それを愛紗に告げるために紙に書き出さなければならないのだから手間になる。
だから電話だけは、愛紗が取る。
メールは全て男に任せているが。