第5章 スペア
そう言って、ベッドに愛紗を押したおした。
柔かいマットレスに埋もれる感覚に愛紗は不思議そうにジンを見つめる。
ジンは愛紗と行為に及ぶのは、たいてい床の上だ。
時折、外の墓地の前であったりするが、こういうベッドでの真っ当なシュチュエーションというのは初めてだった。
それだけジンの機嫌が良いという事だが、愛紗は分からない。
何時もは乱雑な手が、今日は丁寧だ。
茶を淹れて戻ってきた世話役を視線で追い払うと、いつもよりは優しく。
けれど何時ものジンのように、好きに愛紗を暴いていった。
世話役は部屋の隅で終わるのを待つだけだ。
なるべく声を聴かないように、心を無にして待つだけだった。