第3章 おでかけ
「君、危ないから早く避難しなさい」
警察だという男に避難を諭される。
けれど、愛紗ははいそうですか、と言う訳にもいかない。
「私の連れが爆発音を聞いて、扉を開けて上から降りて行ったはずなんです。知りませんか?」
「ええ?!それ本当かい?でも覗いたら女の子しかいなかったけどなぁ」
知らないという風に刑事が示す。
すると女の子とその子より少し大きい男の子がエレベーターから出てきた。
「ねえ君、大人の男の人みなかった?」
「ううん。見てないよ」
(嘘、どこ行っちゃったの)
「ごめんなさい」
「君は悪くないよ~」
困ったぞという顔をした愛紗を見て、少年は役に立てず申し訳ないという風に謝った。
内心焦りながら、愛紗は返事をする。だって子供は悪くないのだ。
ガタンと動き出したエレベーター。
とっさに乗り込んだのは、偶然か否か。