【HUNTER×HUNTER】pleats-プリーツ
第144章 144話
歩みを進めると間もなくして、一面芝生のエリアが見えてきた。
だだっ広い緑の上に、ちょんちょんと並んでいる小さな背中…
間違いなくゴンとキルアだ
何かを黙々と食べている彼らを見つけると、クラピカとお互いに顔を見合わせて笑顔を交わした。
一刻でも早く会いたい気持ちが、私達の歩調を早めていく
「ぶぁはピカ!!名前!!」
やがてこちらに気が付いたゴンは、口の中の物を噴き出しながら私達の名前を叫び、すぐさま立ち上がって走りだした。
それを見た私も、早めた歩みにじれったさを感じて、ついには駆け出してしまう
「ゴン!!」
クラピカを追い越し、光射す芝生に足を踏み出した。
ゴンに近づいていくにつれて、沸々と堪らない気持ちが湧き上がってくる…
そして抑えられないその衝動のままに、私はゴンの胸へ飛び込んだ。
「わあっ!」
驚いた顔のゴンは私を受け止め、その勢いをいなす様に私を抱いたままクルクルと回転する
「わっわわ!やぁぁあ~~っ!」
「あははははは!」
ドサッ
やがて止まったコマが倒れるように、私達は芝生の上に投げ出された。
目が回って、チカチカする
草がクッションになって思いの外痛くはなかったけど…
まさかこの歳で子供みたいに振り回されるだなんて…、思わず驚いて悲鳴を上げてしまった。
後先考えずに飛びついた私が悪いのだけれど、宙を舞う感覚が久々すぎて心臓がバクバクしている
「はぁっ…はっ……」
息を整えようと鼻で呼吸をすると、緑と土の匂いがして…笑い声の方を見ると楽しそうに声を上げて笑うゴンが居た。
その横顔を見たらどうしてか凄く安心して、自然と呼吸が穏やかに戻っていく
そして私もゴンの真似をして仰向けに寝転がり、全身を芝生に沈めて空を仰いだ。
こんな綺麗な青空…久しぶりに見たな…。
そよ風に吹かれて、一瞬その心地よさに浸っていると、後から歩いてきたクラピカの足音が近づいてくる
彼は寝転がる私たちに近寄って、呆れながらも手を伸ばして起き上がらせてくれた。