【HUNTER×HUNTER】pleats-プリーツ
第143章 143話
「詫びるのは私の方だ、名前…。
差し迫った状況だったとはいえ、君を置いて立ち去ることしかできなかった私を許してくれ。」
喉が絞まって
息が止まる
堪えようとする身体の反応も意味を成さないほど、涙がグンと押し寄せて溢れた。
「そ…そんな…許すも何も…」
クラピカは…私の想像していたよりも、ずっとずっと優しい人だった。
一番辛くて苦しいのはクラピカのはずなのに、自分のことよりも私の身を案じてくれていて…
そんな彼が、ゼビル島で一緒に過ごした日々の彼と重なって…
優しくしてもらった思い出が蘇ってきて…
何一つクラピカは変わっていないんだと気が付いた時、私は心底安心して涙が止まらなくなっていた…。
ずっと変わってしまったと思っていたけれど、そんな事はなかったんだ…
どんなに憎しみに駆られても、恨み続けた仇を前にしても
クラピカはゴンとキルアの為に、仲間を守るために行動していたじゃないか…
「また、君を泣かせてしまったな」
私は零れる涙がパタパタと地面の色を変えていくのを目の当たりにしながら、それでも堪えようと必死で息を整えている
顔を伏せたまま泣いていると、クラピカはハンカチを差し出してくれた。
困ったように笑う仕草は、同じようにハンカチを差し出してくれたあの日の澄んだ瞳そのものだ…。
その眼で見つめられると、私はどんどんクラピカに対する罪悪感に苛まれていった。
今の私は、彼の望みや目的…大切なものを踏みにじってまで幻影旅団に協力している立場…
そもそもこんな風に会話をすることさえ許されないくらい、憎まれていても仕方がないはずだ…。
旅団が生きていることを伝えないと…
これ以上クラピカを騙すようなこと、私にはできない…。