【HUNTER×HUNTER】pleats-プリーツ
第142章 142話
静かに部屋に戻り、そっと寝室の扉を開けた。
ウボォーさんはまだ眠っているみたい...
薄暗い部屋で目を凝らすと、スタンドの明かりにほんのりと照らされている彼の寝顔が見えた。
足音を立てないように部屋に忍び込み、枕元にあるクッションの一つを取る
「水」
「わっ!」
そろ~っと部屋から出ようとしたところで、急に声が聞こえて身体が跳ね上がった。
どうやらウボォーさんを起こしてしまったみたいだ...
振り向くと、真顔で「水くれ」と言っている彼の目だけがこちらを向いている。
「ウボォーさん!びっくりした…。身体は大丈夫なんですか?」
「いや…流石にまだ大して動けねえよ、あばら骨がくっ付くまでは様子見だな」
平然と言ってのけるウボォーさんに、ペットボトルを持ってきて手渡す。
どうやら右手は使えるようで、ゴクゴクと喉を鳴らしてあっという間に飲み切ってしまった。
「腹減ったな…」
「すみません、今時間がなくて…。内臓のことを考えたら、しばらく点滴とかの方がいいと思います。」
「バカ言え、飯食わねえでいたら今度こそ本当に死ぬぞ」
憎まれ口をきくほどには元気なようだ…「オレを誰だと思ってんだよ」と文句を言いながらも、飲み干したペットボトルを握り潰している
「あ!ボトルは潰さないでください!おトイレに使うんで」
「ああ?!ふざけンな!これにしろってーのかよ!」
「我儘言わないでください!じゃあ自分でおトイレ行けるんですか?!おむつ穿きます?!」
ガーガーと文句を言われて少しキツく返すと、ウボォーさんは強がっているのか「立ちションならできらあ」と言いながら、少し声のボリュームが落ちている。
よく話を聞いてみると、どうやら身体を曲げない動作であれば負担は少ないみたいだ。
しかたなく、必要な時は私の能力でお手洗いまで転送してあげることになった。
本当は座ってしてほしいんだけど…「男は立ってションベンするもんなんだよ!」と豪語して聞かないし、身体に負担がかかると言われれば致し方ない…。
一先ずお水とゼリー飲料をナイトテーブルに乗るだけ置き、手の届くところに必要そうな物を設置して
私は再度アジトへと戻った。