【HUNTER×HUNTER】pleats-プリーツ
第135章 135話
「もう一度」
「………」
痛めつけられるゴンを見ながら、オレはただ立っていることしかできない
今は何を言っても、何をしても悪手になってしまうだろう…
「なァ、オレぁクモの中で腕相撲何番目に強いかね?」
「7~8番ってとこじゃねーか?」
「弱くもないけど、強くもないよね」
ゴンに腕相撲をさせている長髪のヒゲの問いに、背後のデカブツと目つきの悪い女が答える
そしてヒゲはゴンの手を組んだまま語りだした。
クモの中で一番腕相撲の強かった男が、その鎖野郎とか言うヤツにやられたらしい
オレ達からしたら無関係の事で詰められているこの状況は、完全にとばっちりだ…。
「だからそんな話知らないって言ってんだろ?」
理不尽に感じた苛立ちから、つい口を挟んでしまった。
オレは、この状況を甘く見ていたんだ。
「おいガキ、次に許可なく喋ったらぶっ殺すぞ」
ヒゲの男は、オレを睨みつけながら血塗れになったゴンの手を机に叩きつける
「ズギャ」というグロテスクな音と共に、ゴンの血が飛び散った…。
明確な殺気が向けられてようやく自覚した…
オレ達は今、どの瞬間に殺されたっておかしくないってこと…。
「もう一度」
そう強要されゴンの手が組まれると、ヒゲは再び語りだした。
窮地に立たされた状況で、敵の長話が始まるのは悪いことでは無い。
多くの情報を得て、考える時間もできる…
しかしヒゲの口調は段々と感情的になっていき、やがて涙を流し始めた。
「知らないね、たとえ知っててもお前らなんかに教えるもんか」
その姿を見てなのか、ずっと黙っていたゴンの声が静かに響く
ヤバい…
ヒゲの情報から鎖野郎が何者なのかを探る事に必死で、ゴンの異変に気が付かなかった…!
オレの心配を他所に、ゴンの声色も段々とエスカレートして怒りの感情を露にしていく
そしてゴンは、ついにヒゲの手を机に叩きつけ怒鳴った。
「なんで分けてやれなかったんだ!!!」