【HUNTER×HUNTER】pleats-プリーツ
第132章 132話
すっかり汚れてしまったドレスの裾がバタバタとはためいている
乱れた前髪が顔にかかり、前が良く見えない…。
クラピカは今どんな気持ちで、どんな顔をしているのだろう…
顔色が伺えず不安が募る中、鎖の擦れる音が聞こえてきた。
「…今後、念能力の使用を一切禁じる。そして、旅団員との一切の接触を断つこと。
この2つの掟を破る事があれば、戒めの鎖が貴様の心臓を潰すだろう。」
ギュルルル!
「!!」
驚いて音の方を振り向く
前髪をはらい耳にかけると、ウボォーさんの心臓を目掛けクラピカの鎖が入っていくのが見えた。
「クラピカさん…!」
向き直ると彼は既に背を向け、脱ぎ捨てた服の方へ歩みを進めている
「まって!あのっ…辛い選択をさせてすみませんでした…!」
呼び止めるけれど、クラピカはこちらを見ようともしない。
慌てて追いかけようと足を踏み出すと
「わっ!えっ…!?」
背後から鎖の音がして、拘束が解かれたウボォーさんが倒れ込んできた。
2メートルを優に超えた巨体が降りかかってくる
咄嗟に受け止めようとしたけれど、そんなの絶対に無理だ…!
私はせめて頭だけでも守ろうと、ウボォーさんの頭部を抱きとめた。
良かった…、気を失っているだけみたいだ…。
とはいえ容体が悪化している事には変わりない、急いで手当てしないと
クラピカをあのままにするのも気がかりだが、このままウボォーさんが死んでしまえば本当に彼が人殺しになってしまう。
地面に座り、ウボォーさんの頭を抱きかかえながら、遠ざかるクラピカの背中を見つめる
「…クラピカ、ありがとう。」
今になって、初めて涙が溢れてきた。
一滴の涙が頬を伝い落ちる
私はウボォーさんを連れてその場を後にした。
落ちた涙は、私達の居なくなった地面に浸み込んで溶けていった。