【HUNTER×HUNTER】pleats-プリーツ
第131章 131話
「私も同じ気持ちです…だからクルタの人達のためにも、貴方に彼は殺させない。
もし彼を殺せば、他の団員が貴方への復讐の為にまた人を殺します。そして今度は、ゴンとキルアを危険にさらすことになる」
2人の名前を出すと、険しい表情だったクラピカが驚いた様に肩を揺らした。
「本当の事ですよ。
危険を顧みず『蜘蛛を止めたい』と言って命をかけようとする…そんなゴン達に貴方はこう思うんです。『私はいい仲間を持った』って…、そして失いたくないと願い、捕えた団長の命と引き換えに彼らを助け出す。
未来の貴方自身が自分でそう選択するんです…。私が言いたいこと伝わりますか…?」
もう5年前の貴方とは違う、復讐よりも大切なものが今はあるはず…
「そんな…」
頭を押さえ俯くクラピカ、声は細く掠れている
本人も自覚しないうちに育まれてしまった感情、背負った物との狭間で苦しんでいるのだろう
「貴方の目的は一族の仇をとること、そして同じ惨劇を繰り返さないために元凶を断つこと。
だけど、誰も望んでいない仇討ちをしても悲しみは終わらない。憎しみで憎しみを生めば、それこそ悲劇を繰り返す結果にしかならない!
…幻影旅団は私が止めます。だから彼を…ウボォーさんを殺す必要はないんです。」
私は今、どんなに残酷な事を強いているのだろう
クラピカのこれまでの5年間を知らないが故、そんなこと分かりようがなかった…。
でも、それでも少なくとも、人間が人間を殺すなんて選択が正しいはずがない
私はそう信じている。
クラピカは俯いたまま話さなくなり、私もこれ以上言葉を紡ぐには辛い心情だった。
「勝手に人の生き死に決めてんじゃねーぞ…」
そんな中、苦しそうに息をしながらウボォーさんが口を開いたのだ。
背中を向けていた私は、驚いて振り返る
「オレはここで死ぬ。口出してくんじゃねえ…」
ゲホゲホと咳き込み、血反吐と共に言葉を吐き捨てるウボォーさん
完全な絶の状態で捉えられ、経験上勝負は決まったと思っているのだろうか
本人に助かりたいという気持ちは残っていない様だ…。