【HUNTER×HUNTER】pleats-プリーツ
第130章 130話
プルルルル…
プルルルル…
呼び出し音が長く続き、心臓がじわじわと嫌な緊張を感じている
胸の前で手に汗を握り、どうか早く出てくれと念じていると、ようやく電話が繋がった。
「シャルナークさん!名前です!ウボォーさんは何処に居ますか?!」
「ちょ…声デカいよ、意外と元気そうだね。そうだ、競売品の在りかをまだ教えてもらってな「陰獣の梟が運び屋です!ウボォーさんは?!」
シャルナークの呑気な口調に焦りを感じ、思わず言葉を被せる
私の勢いに押された彼から「どこに居るかは知らないけど、マフィアの用心棒に一杯食わされて、そいつとケリをつけるまでは戻らないって」と聞かされ、血液が冷えるような絶望を感じた…。
「ケリをつけるって…、鎖野郎ですか…?」
「知ってるの?あっ、あと!陰獣の梟ってもしかしてサングラスで布を使う念能力者?」
「はい、そうです。すみません…急ぐので切ります。」
私がこの世界に居ても、史実通りに物語は進んでしまった。
一日寝ている間に、一体どれだけの人が死んでいったのだろう…
ぶらん、と脱力した腕で電話を切り、私は立ち上がってヒソカへと携帯を返した。
「11番の彼…死ぬんだね、諦めるの?」
「…いえ、絶対に諦めません。」
「キミが泣き顔じゃないなんて珍しい…」
他人事の様に、ヒソカは少し楽しそうな声色で言う
確かに、さっきまでは焦りと緊張で身体が強張っていたけれど、今はこの事態に向き合い集中できている気がする
こういうのを腹が決まったって言うのかな…
私はまだ間に合う事を祈りながら、静かに念を発動させた。