【HUNTER×HUNTER】pleats-プリーツ
第124章 124話
フェイタンは私と同じ車が嫌だそうで…そちらには乗れなかった為、シャルナークが運転する車の方に乗っている
初めて見る夜のヨークシンシティはとても華やかで、街の明かりが美しく煌めいていた…
「…どうしてオレ達を止めたいって思ったの?」
「えっ…?」
車の中から次々と流れゆく街並みに目を奪われていると、赤信号に差し掛かりシャルナークがそう言う
「殺し、させたくないんだろ?」
こちらを見ず、進行方向に顔を向けたままのシャルナーク
後部座席の私は、突然の詰問に戸惑った。
「はい…できるだけ」
「誰でも助けたいの?今夜会場に集まってるのは全員犯罪者だよ?」
「…」
私が答えないで居ると、シャルナークは片手をハンドルにかけたまま、こちらに振り向く
「…そいつらが死ねば、死なずに済む命が沢山あったとしても?
君が命を助けたら、善良に生きてる人たちがそれ以上に死んでいくよ。それでも助けるの?」
声からイラ立ちなどは感じないけれど、言葉の端々で”理解できない”という感情をぶつけられている気がする…
確かに彼の言っている事は事実だし、私のした事が悪い結果を招くかもしれない
でも…私はもう、その答えを知っている
ゴンとキルアが教えてくれた
”自分を信じる強さ”
”大切なものを守り抜く覚悟”
「私は、貴方にも死んでほしくないから」
伏せていた顔を上げ、シャルナークの瞳を見ながらそう答えると
彼は何も言わず前に向き直り、青信号の車を発進させた。