【HUNTER×HUNTER】pleats-プリーツ
第113章 113話
「えっ…そうなんですか?」
「うん、それは本当だよ。
…だから少しお喋りをしよう、ボクとカストロの試合を邪魔したのはキミだね? 」
「!」
サラッと一番つつかれたくない話を引き合いに出されて、肩に力が入った。
やっぱり真剣勝負を邪魔したこと、怒っているだろうか…。
「はい…。あの時は…すみませんでした…。」
「まだ誰も殺したくないって考え、変わってないんだ?」
一応きちんと謝罪をしたけれど、どうやらヒソカは怒っているという感じでもなさそう
どちらかというと、呆れているような言いぐさだ。
「それは、私にとってここに居る意味というか、自己実現でもあって…」
「…キミのその考え方、ボクは好きじゃないな。」
ヒソカは肘をついて掌に顎を乗せる
実に冷ややかな目を私に向けてから、彼は外の街並みを眺めた。
「少なくとも彼は…ボクに殺された方が幸せだったかもしれないよ。
生きながらえて、その現実を受け入れられる強さは…彼にはない。」
「え…?」
ゆっくりと首を私の方に向けて、ヒソカは冷たい声で続ける
「知らないの?キミに命を救われてしまった後、カストロがどうなったのか」
まさか、と思いながらも震える手で携帯を取り出し、電脳ページをめくる
カストロのニュースを調べると、彼が自ら命を絶ったという記事が出てきた。
知らなかった。
「ショックだったかな…? でも、キミのしている事ってそういう事だよ。
それでも止めるつもりがないのなら、ボクに謝ったりなんかしたらダメだ。
やるなら、それ相応の覚悟をしてやれよ。」
「………………………。」
視界がグニャリと歪んで
地面が波を打つように揺れている
グラスに注がれた炭酸水の中で無数の泡が浮き上がっていくのを眺めていた。
何のためにとか、どうして、とか…考えられない。
彼はどんな気持ちで死んでいったのか…
今となっては…もう、それすら…