第113章 113話

瞬きも忘れて、呆然としていると

遠くに感じている音や光の中でヒソカの声が聞こえてきた






「慰めるつもりはないけど、死神から一つ教えてあげよう


死の運命は何よりも強い。
折り重なった因果を捻じ曲げても、何度道を変えても、同じ結果にたどり着く事がある。

一度ついた折り目は真っ直ぐには戻らない様にね…

人には死に場所ってものがある事を覚えておくといい」









…







私の世界とは完璧に何もかも違う




その事にやっと気付いた。




この世界はとても残酷で、恐ろしい事で溢れていて
私の過ごしてきた日常とは、比べられないくらい強く生きている人たちが居る


甘ったれた世界でのうのうと暮らしてきて
好きな漫画の世界に来れたからって、大好きな人達を助けられるかも…なんて思っちゃったりして


生きていれば、命さえあればそれが幸せに繋がるって決めつけていて




私の世界の感覚で、価値観を推し量って…




命を弄んだ





私の世界とは何もかも違う

そんな当たり前の事を

理解していなかった。







ヒソカは席を立ち、私を残して店を出ていく。







「私…どうしたら…」






誰にも聴こえないほどの声が、心から漏れた。