【HUNTER×HUNTER】pleats-プリーツ
第102章 102話
「いってきまーす!」
ミトさんからお使いメモをもらい、ゴンに連れられて一番近い市場へと出発。
「ちょっと歩くけど、大丈夫?」
「うん、たまには運動しないとね!」
暑いと言っても吹く風が涼しくて気持ちがいい
潮風の香りを感じながら遠くを見やると、丘の上からは少しだけ水平線が見えた。
振り向けば小高い山々が家の後ろに広がっている
すごく綺麗で素敵な場所
開放感から、私はスーッと息を吸って大きく背伸びをした。
「なんだか、小さい時から見慣れている景色の中に名前が居るとヘンな感じがする」
「あ、それ解るかも」
くすぐったそうに笑うゴン
ただ慣れないだけなんだろうけど、そういう事ってよくあるよね…
ゴンと楽しくお喋りしながら歩いていると、だんだんと建物や人気が増えてきた。
もう市場に着いたみたいだ。
ずっと話していたからか、長い道のりもそんなに距離を感じずに歩けたな
市場はというと、まさに外国といった感じの露天商がズラリと並んでいる。
簡易式の布を張った屋根の下には、樽やカゴに盛られた食材が陳列されていた。
珍しくて慣れない海外の市場なので、私はゴンの後ろについて周っている
「見てて食べたいものとかあったら言ってね」
「わかった。でも自分で買えるよ?」
「みんな名前のこと知らないから、オレがやり取りした方がいいかなって」
確かに、すれ違う人やお店の人など、殆どの人がゴンを見て声をかけてくる。
食材をおまけしてくれたり、お裾分けしてもらったり、半ば強制的に品を押し付けるように渡してくるその様子に私はデジャブを感じていた。
…久しぶりに会った孫に次から次へと食べ物を出してくるあの現象だ、こっちの世界でもこういうのってあるんだな……
慣れた様子で買い物を続けているゴンは、その都度元気な笑顔で応対している。
そんな横顔が、島の人たちからも愛されているゴンという存在が
なんだかとても、尊く感じた...。