【HUNTER×HUNTER】pleats-プリーツ
第100章 100話
甘い香りがキッチンに立ち込める
私はオーブンを見守りながら、昨晩の事をぼーっと思い出していた。
何度も何度も繰り返して止まない「大切なんだ」のフレーズ
「名前ちゃん、オーブンの前は暑いんじゃない?顔が赤いわよ?」
「えっ?!あ、すみません。ボケッとしちゃってました。」
誤魔化す様に笑うけれど、オーブンから離れたら顔に熱を帯びる理由がなくなってしまう。
そう思いながらも、私はミトさんに促された椅子に座り
淹れたてのミントティーをこくんと飲んで落ち着こうとした。
「今朝は洗濯を手伝ってくれてありがとうね」
「いえ、居候させてもらっているので当然です。何かお手伝いできる事があったら、なんでも言ってください。」
「十分助かってるわよ〜。でも…そうね、そしたら後でゴンとお使いに行ってもらおうかしら」
「はい!…でも、能力を使えば市場まで移動できるし、重たい荷物もお家まで転送するので1人でも大丈夫ですよ」
「そうよね、けど…今日は天気もいいし、くじら島を満喫して欲しいなって思って。市場までの道も良い景色なのよ」
ホワッと微笑むミトさん。
確かに、たまには身体も動かさないと体力つかないからなー…
なんでもない雑談、カップケーキが焼き上がるまでのミトさんとのティータイム。
完全に油断して気を抜いている私は、なるほど?という顔をしながらもふと疑問に思った。
でも、どうしてゴンと2人…キルアは?
「名前ちゃんって…、ゴンの事どう思っているの?」
「え?あ、え?!」
「やっぱり、弟みたいって感じかしら」
待て待て、待ってミトさん
突然の投げかけに直前の疑問も解けた。
ミトさんを見るとニコニコ楽しそうに笑っている…、もしかして探りを入れられている…?
いや、昨晩の会話を盗み聞きしちゃったから、だからそう感じるだけかも…
普通に、普通の質問だよね、動揺しちゃダメだ。
「う…んと」
なんとか当たり障りのない言葉を捻り出そうとすると
またもや昨晩のあのフレーズが私の脳内に想起する
『大切なんだ。』
ゴン…ゴン…、私はゴンの事…