【HUNTER×HUNTER】pleats-プリーツ
第99章 99話
「私とジンの話をする前に、ゴンも名前ちゃんとの事教えてよね」
ちょっといたずらっぽくそう言うミトさん
その言葉に、私は思わず階段の途中で足を止めた。
「名前の事?ハンター試験で出会った友達だけど…」
「本当に友達ってだけなの?」
「え?そう言われても」
「じゃあキルアくんと同じ気持ちで名前ちゃんと接してるって事?」
「うーん、そう言われると確かに違う様な…」
ゴンは困った様に言葉を詰まらせる
少しの静かな間の後、ミトさんは小さな声で続けた。
「…ゴン、名前ちゃんを襲った選手に怒ったんだってね
あの子、その時のゴンが凄くカッコ良かったーって話してたわよ?」
!?
ちょっとミトさん!?もしかして酔っ払ってる?
ゴンになんて話題を…、ていうか口が軽すぎる!!
盗み聞きしている以上、止めに入る事もできない私は
ひとり階段に座って両手で顔を覆っている。
自分の心を落ち着けるために精一杯だったが、暫く何の物音も聞こえてこない事を不思議に思って再び耳を澄ませてみた。
「ゴンってば〜、顔真っ赤
やっぱり好きなんじゃなーい」
「ちっ、ちがうってば!」
「はぁ〜あ、ゴンもとうとう好きな女の子を家に連れてくるようになったかー」
ミトさんってば、からかって楽しんでいるのかと思えば急に切なげに親心を呟いている。
そうしてゴンの慌てた口ぶりとミトさんの冷やかしが少し続いた後
私は聞いてしまった。
「名前は…なんて言うかお姉さんだし、綺麗だなって思うよ。
でもやっぱりオレに比べたら弱いところもあって、ミトさんが言うみたいに女の子って感じる時もあるから
だから、自分でもわからないけど…ただ守りたくて、ただ大切なんだ。」
「……………。」
「全部正直に言うとそんな感じ」
ハハ!と誤魔化す様に笑い、恥ずかしそうに言うゴンの言葉が微かに聞こえてくる。
私はそっと、それでも早く階段を駆け上がりベッドに飛び込んだ。
心臓がうるさすぎて、寝られるわけがなかった。
20230626