【HUNTER×HUNTER】pleats-プリーツ
第89章 89話
布団に潜り込む私をよそに、ガサガサとビニール袋からアイスを取り出す音が聞こえる。
新しいアイスクリーム屋さん、シンプルにそのワードに惹かれた私は、布団からひょっこり顔だけ出してみると
「ダハッ!!おまっ、・・・マヌケな亀みてえ!」
いつの間にか目の前まで来ていたキルアに爆笑された。
「・・・・。」
ブッスーと睨みつけるだけの私、間に挟まれたゴンは乾いた笑いを浮かべながら「早く食べよー・・」と小さな声で言っていた。
「二人ともありがとう」
口に含んだ途端に広がるラムレーズンの香りとミルクの深い味わい。
気を取り直してというか、機嫌を取り戻した私は、まだ少し熱の残る身体に冷たく染みていくアイスを堪能していた。
「お土産、何がいいかなーって思ったんだけど、喜んでもらえて良かったよ!
オレたちと良く一緒にアイスクリーム食べてるから、名前も好きなのかなって」
「めっちゃ好きだよ〜!ジーンと来る〜・・・」
思い返せば確かに、事あるごとにアイス食べてるかも・・・
ここから闘技場までの間、歩きながら食べるのに丁度いい距離なんだよね
闘技場付近のアイスクリーム屋さんは、殆ど行ったのではないだろうか。
「その感じだと、明日明後日には復活って感じだな」
「早く一緒に修行したいね」
カラッとした笑顔で前向きな言葉をかけてくれる二人
いつもなら普通のやりとりなのかもしれないけれど、病気で弱った心にはこちらもかなりジーンと来ていた。
「うん〜〜〜」
「うわ!なんだよ!泣くなよ!」
「なんでなんで!?」
やっぱりまた・・風邪ひいてもいいかも・・・。
20230601