【HUNTER×HUNTER】pleats-プリーツ
第86章 86話
「その気持ちオレも解るんだ。」
ぐっと、強く耳に届いてくる
ゴン特有の話し方
周りの雑踏が遠くに感じ、くーーっと世界が小さくなる
アイスクリームを食べるのをやめ、隣同士座っているゴンに自然と目をやると
ゴンは正面を向いたまま斜め下を眺め、ゆっくりと続けた。
「オレはキルアとは違うから、きっと抱える気持ちの大きさも違うと思う
でも・・その気持ちが大き過ぎたら、オレもどうなっちゃうのか解らない。」
「・・・。」
どうなっちゃうのか解らない
そう言われて真っ先に思い浮かぶ、直結して物語の中で私が一番避けなければならないあのシーン・・。
カイト
「・・・・。」
どうしよう・・何も言えない・・・。
「・・ごめんね、名前にそんな顔させたいわけじゃなかったんだけど」
何かに気が付いたように私の顔色を気にしたゴンは、くるりと雰囲気を変え困ったように笑った。
私はすぐに顔に出てしまうから、また悟られてしまうのだ。
「あ、ごめ・・あの・・・」
「でも、キルアは大丈夫だと思うよ。なにか変わった事があったらすぐに連絡するよ」
それでいい?と、現状一番の落としどころを提案してくれたので
私はそれに申し訳なさを感じつつも、頷くしかなかった。
「いつも通り稽古場に電話するね。
あ・・・そうだ!毎回ウイングさんに取り次いでもらうのも悪いし
キルアに手伝ってもらってケータイ買いに行ったら?キルアはそういうの詳しいし
そんなに心配なら直接様子を確かめるのがいいと思う!」
「え!!」
「携帯欲しいって前から言ってなかったっけ?」
「い・・ってたけど・・」
「じゃあオレから伝えとくよ!明日の昼に部屋これる?」
やいのやいの言われながら、すっかり明日キルアに会うことになってしまった。
彼とはこういった気まずい感じが多い気がする
多分わたしが悪いんだけど・・
しかしゴンには頭が下がりっぱなしだな…
201810