【HUNTER×HUNTER】pleats-プリーツ
第86章 86話
「着替えて・・・来ましたけど・・・。」
「はい、それでは中に入ってください。」
軽装に着替えた私は、ウイングさんに促されてシャワー室に入った。
相変わらずの穏やかな表情と不釣り合いな状態に
またもや私は混乱させられる・・・
狼狽えているうちにウイングさんはシャワーからお湯が出ているのを確認して、ノズルを構えた
「えっ、えっ」
「ぬるま湯ですから」
そういう問題じゃないのでは?!
瞬間、ザー!と勢いよくシャワーをかけられる私
何をされているのか訳が分からない
斜め上に向けられたノズルから、お湯が弧を描いて緩やかに降ってくる
「どうですか?」
「ンブッ・・プァ???どうって?!」
「水に触れて、その一粒一粒が解りますか?」
「えっ?な、解りませんよ!」
「そのまま、まずは水が自分の体に触れていることを感じて」
そういうやつ?!
落ち着き始めた脳みそを働かせて、私はすぐに分厚い纏を作った。
円の要領なのか、纏の層を通過する水滴だけ鮮明に感じる・・
「ああ・・オーラを突き抜けていくと・・・解る感じがあります・・」
「いいですね、その感覚で一粒単位を理解できるようにするのが今回のゴールです。」
集中している為、すぐに言葉が出なかったが
つい顔をしかめてしまった・・
とてもじゃないけど無数に降ってくる水滴を一つ一つ感じるだなんて、現段階からすると途方に暮れてしまう
「・・・・。」
「まぁまぁ、そんな顔をせずコツコツと頑張っていきましょう
普段からお家でもシャワーを浴びる時、何か他の物質に触れる時は
その質感を意識してみると良いかもしれませんね。
今回は人のオーラによく似ている感触のお湯を利用していますが
布の感触、木の感触、鉄の感触、そして人の感触
それらの質感を無意識下で察知できるようにならなければ、この能力の習得は難しいですよ」
う・・うぅ~・・・ん
ウイングさんの説明に納得したものの
言うのは簡単でも、実際は正に雲を掴むような気持ちだ。
しばらくお湯を浴びていたが、その日はキルアの事も心配で、中々修行も身に入らなかった。
キルア対サダソの試合までまだ二週間以上ある・・
それまでキルアの事はよく見ておかないと・・