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【HUNTER×HUNTER】pleats-プリーツ

第83章 83話



「ダメだよ」

歩み出すキルアを止めた。


「・・何がだよ」

「キルアのしようとしてる事だよ・・」

静かに溜息をつきながら、草臥れた様に首から振り向くキルア
底知れない闇を感じて、私は恐ろしくなってしまった。


「お前に解るのかよ、オレが何をするのか

ああ、そうだった。知ってるんだよな何もかも全部
その道理だと、オレをこうさせたのはお前だろ。」


「・・ちがうよ。そんな・・本当はこうなるはずじゃなかったの・・
ごめんね、キルア・・。ごめんなさい・・」


人通りの無い夜中の住宅街、街灯の光がよりキルアの影を深く浮き彫りにする・・
私の涙腺は簡単に耐えられなくなり、情けない声を出しながら闇と対峙するしかなかった。

止めなくちゃ・・私がどうにかしなくちゃ・・


「キルアは・・本当はゴンとズシの為に・・、みんなの為に1人で頑張るの・・
キルアが頑張るんだよ・・自分で考えて、みんなの為になる様に・・ちゃんと解決できるの
そんなことしなくても、キルアは大丈夫なの・・・」

「・・」

「誰も殺したりしない・・、大丈夫」


少しずつ近づいて、手をとって、片手で抱いて、背中をさすった


普段のキルアなら、こんなことをすると怒るだろう

どの行為にも拒むことなく身を委ねる彼は、進路を見失った弾頭の様だった。
その力をもってして、全てを無くす事はできる
しかし、その度に過ちを繰り返す結果にしかならない・・

ゆっくり破綻していくのは彼自身だ・・。


「だからお願い、一緒に考えよう・・。絶対に大丈夫だから
私も ゴンも 、ズシもウイングさんも・・みんなずっと大丈夫だから・・」

「・・・おまえの大丈夫ってさ・・、本当なんだろうな・・」


しばらく落ち着かせる様に身体をさすっていると、キルアは身をよじって私から離れた。


「ハーー・・、わかったよ・・殺しはやらない、だからお前もこれ以上オレを子供扱いすんな」


月明かりで覗いたキルアの顔は、いつものキルアに戻っているようだった。


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