【HUNTER×HUNTER】pleats-プリーツ
第78章 78話
「さあ!気合い入れていきましょうね」
鳩の無事が確認できて、安心したのもつかの間・・
次は自分の番であることを思い出した私は、固まったまま宙を見ていた。
そんな私の肩を、ウイングさんは叩いている・・
私には何故ウイングさんが意気揚々と急かしてくるのかが解らなかった。
「えっ・・えっ・・」と情けない声でまたもや狼狽しながらも、元の立ち位置に戻る・・。
人間の行動というものは不思議なもので、使命感から事を進めつつも
目線では、この場にいる人間で最も助けてくれそうな人物を見ていた。
ズシもその縋るような目を心配そうに見返しながら頷き、拳を作って見せてくれる。
なんでズシに助け求めてるんだろう私・・
ますます情けなくなりながらも関係のない事を考えている・・また現実逃避だ・・。
「大丈夫ですよ。身構えず、さっきの調子でお願いしますね。」
あまりにガチガチになっている為か、ウイングさんも困ったように宥めてくれる・・
キルアなんてもう「早くしろ」と言わんばかりに、つま先を鳴らしていた。
「はぁ・・・」
果てしなく気乗りしないが、避けて通れないのも事実
私は、列車でのゴンとのやり取りや、今までの悔しい経験を思い出し自分を奮い立たせた。
私は弱いから・・
私がただの人間だから・・
強くならなくては・・
誰にも、悲しい思いはさせたくない・・。
スーと突然恐怖心が消え去り、柔らかな闇と生温かいふよふよとした空間を抜けた・・。
そこまではなんとなく記憶にあるのだけど・・
「ハッ!あああ!!え・・・!」
「モノにしたな」
気が付いたら目の前にゼノさんがいた。