第72章 72話

『さぁーーーーいよいよです！！
ヒソカ選手VSカストロ選手の大決戦！！』





これだけ騒がしい会場内にもかかわらず、私はこの1ヶ月間の修行での事を思い出していた。
緊張で息が浅くなり、お腹がきゅっと縮こまるように苦しい、試合開始のアナウンスも歓声も耳に入ってこないほどだった。


ぎゅっと握った手を開くと、傷だらけになった手のひらが汗ばんでいた・・
この傷は投げたトランプを転送する練習時に負ったもの
威力が相殺できなければ、私の手の中に転送されたトランプは投げられた力を保ったまま私に突き刺さる

「おい・・大丈夫かよ。」

心配したキルアが私の肩を揺すり起こし、ようやく意識がはっきりとした。
遠くに感じていた音も元に戻る

「あ・・ありがと・・。」

キルアの眉間にシワが寄った。
心配してくれているようだけど、たぶん・・また自分の知らない事で
私がこんな風になっているのが気にくわないんだろうな・・。