【HUNTER×HUNTER】pleats-プリーツ
第72章 72話
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「あいつ、ヒソカに殺られるのかよ」
ヒソカVSカストロ戦が目前に迫る会場は、試合開始を急かす怒声と叫び声でけたたましく賑わっていた。
私はというと、そんな騒音も耳に入らないほど緊張し汗をかいている・・
握る拳はその力を増すばかりだった。
「・・・・・。」
キルアの問いに強く目を瞑ると、彼はもう何も聞いてはこない。
この様子を見れば一目瞭然なのだろう。
手付かずのドクダミジュースの水滴が膝に滴った。
・・・・・・・・・・
《1ヶ月前》
「トランプですか?」
「はい、今日から能力の練習材料を指輪からトランプに変えたいんです。」
「それは良いですが・・その分、物に念を込める神字の修行から離れるので
当初の目的と予定から少し逸れますが、大丈夫ですか?」
「必要な・・ことなので・・・・。」
しん、と静まった稽古場でウイングさんが浅くため息をついた。
たまに通る車が、住宅街の石畳をバラバラと音をたてて走り去っていく・・
夜の喧騒が散り散りに町外れへと帰っていく時間だった。
「ヒソカですね」
「・・・」
トランプというアイテムからは、容易に特定の危険人物が連想できる
私が小さく頷くとウイングさんはそれ以上は何も言わずに修行を手伝ってくれた。
具体的には、それからの数日間
クラピカの鎖を具現化する修行のように、私は一日中トランプの質感や模様などを徹底的に頭に叩き込んだ。
単体での転送はもちろん、主軸が能力者でなければならない為
実際はヒソカの投げるトランプを自分の元に転送しなくてはならない。
なので一番苦戦したのは移動している物を捉え、力を消す事だった。
この力というのは一方向にかけられた威力の事で、それを意識しないと投げられたトランプは
転送後、またその地点から何かにぶつかるまで止まる事がなかったのだ。
投げられた物に対しての威力を相殺する力は、転送の能力にちょっとしたコツを加えるだけで比較的簡単だったけれど・・
それって人間に対して投げられる”軽いトランプ”に限定した話だから・・これからの課題になるのは間違いなさそうだった。