【HUNTER×HUNTER】pleats-プリーツ
第1章 1話
「体育館だ!」
弾かれたように顔を上げて思い出した。
そうだ、今日は登校が早められて朝会があるんだった…!
私は大きな息を吐き、休む間もなくまた走り出すけれど、きっと遅刻は免れないだろう…。
「はぁ…はぁ……」
つ…疲れた…もう当分走るのは勘弁…
体育館に到着すると、教師に促されて列の最後尾に大人しく体育座りになった。
ちらちらと後ろを振り返る同級生たちの視線を感じる…
鞄もコートも抱えたままの私は、隠れるように顔を伏せるしかなかった。
恥ずかしい…、最悪だ。
できることなら今すぐこの場から居なくなりたい。
全員の記憶から消えてしまえたらいいのに。
心の中でそう思いながら、私は固く目を瞑る
「?」
そんな時だった。周りのざわめく声に気が付いた。
段々と騒がしくなる生徒たちに、私も何事かと薄く眼を開いてあたりを見回す…
すると…視界に飛び込んできたのは、なんと体育館のどでかい照明だった。
余りの事に混乱して避けるように体を捩ると、手を突いたそこに床が無いと気が付く…
「やっ!なになになに?!」
そう
私の体は宙に浮いていたのだ
天井が落ちてきたのかと思ったけど違う…私が上に上がってる!?
下を見ると、そこには騒ぎ立てている群衆がこちらを見上げていて、私は反射的にスカートを抑えた。
訳の分からないまま、ただひたすら縮こまりカバンとコートを抱きかかえ上に上にと上昇していく
わーきゃーと騒がしい声が体育館に響く中、とうとう私は天井をすり抜け消えてしまった。
20121206(update:20240725)